“誰に習ってるの?”と尋ねられる音に育った話

今日は、とても嬉しい出来事がありました。

体験レッスンに来てくださった方が、こんなことを話してくださったんです。

「以前、弾き合い会で、とても音が綺麗な方がいて。
思わず声をかけたら、『笠松でロシアピアニズムを教わっている』と教えてくれて。
調べたら先生のサイトが出てきて、きっとここだと思って問い合わせました」と。

「最近、弾き合い会に出られたとしたら、Kさんでしょうか?」と尋ねると、
「そうです!その方です!」と。

……その瞬間、本当に胸がいっぱいになりました。

「音が綺麗」と感じてもらえたことも、
その大人の生徒さんの演奏が誰かの心に残っていたことも、
そしてそのご縁が、こうしてまた新しい出会いを連れてきてくれたことも——
全部が、嬉しくてたまりませんでした。

その生徒さんは、私のレッスンを受け始めてちょうど1年ほど。

来たばかりの頃は、日本によくある奏法で、正直「美しい音」とは言えない状態でした。
でも、彼女はとても真剣にピアノに向き合って、
毎回のレッスンでも丁寧に音と向き合ってくれて、
少しずつ、確実に、音が変わっていきました。

今では、人前での演奏を前提としたレッスンにも取り組んでいます。
自分のために楽しむだけでなく、「誰かに音を届ける」ことを意識したレッスンです。

“どこで習ってるの?”と聞かれるような演奏は、
才能だけではなく、日々の丁寧な積み重ねから生まれるもの。

その姿勢こそが、音にあらわれて、
また誰かの心を動かしているのだと思います。


私が大切にしているのは、
「ミスの有無」や「弾いた曲の難しさ」といった、表面的な評価ではありません。

本当に心に届く音、響き、音楽。
それはもっと深いところにあって、
その人の在り方や、音との向き合い方の中に宿ると感じています。

だからこそ、私はいつも
生徒さん一人ひとりが持つ「その人だけの音」や「その人ならではの響き」を引き出せるレッスンを目指しています。

その音が育ち、誰かに届く——
そんな瞬間に立ち会えることが、私にとって何よりの喜びです。


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