🎹「ピアノが好き」って、実はシンプルじゃない

以前、ある有名なピアニストの言葉を聞いたことがあります。
(どなたの言葉だったか、忘れてしまったのですが。)

その人はこう言いました。

「ピアニストは、あれもこれもできる人が、それでもピアノを選ぶべきだ。」

つまり、選択肢がいくつもある中で、それでも「これだ」と選ぶのがピアノだ、と。

一方、別のピアニストはまったく違うことを言っていました。

「ピアニストは、私にはピアノしかないと思う人がやるべきだ。」

これも、すごく真実だと思いました。


私は、この二つはどちらも正解だと思っています。

なぜなら、芸術というものは――
結局のところ、離れられないものだから。

選べる人も、選べない人も、
気がついたらそこに戻ってきてしまう。

好きなときもあれば、苦しいときもある。
時には距離を取りたくなることもある。

それでも、なぜか手を伸ばしてしまう。


芸術と生きるということは、

好きとか嫌いとか、
楽しいとかつらいとか、

そういう単純な言葉では割り切れないものを、
丸ごと抱きしめて生きていくことなのかもしれません。

清も濁も、全部含めて。


そして不思議なことに、
そんなふうに色んな感情を味わっているはずなのに、

口から出てくる言葉は、結局こうだったりします。

「ピアノが大好きなんです。」

そして今日も、私はピアノの前に座っています。

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