ピアノから広がる音楽の世界 〜 吹奏楽部でチューバを始めた生徒の話

私の教室にずっと通ってくれている生徒が、高校に進学して、憧れだった吹奏楽部に入部しました。

「ピアノを習っていたからこそ、他の楽器にも興味が湧いたんです!」

そんな言葉を聞いたとき、私はとても嬉しくなりました。
ピアノを続けることで、音楽の楽しさや奥深さに触れ、他の楽器の世界にも自然と目が向いたのですね。

チェンバロやパイプオルガンにも挑戦

この生徒はピアノのレッスンの中で、ただピアノを弾くだけでなく、チェンバロやパイプオルガンにも挑戦しています。

最後に美しく弾くことができた動画を親御さんにLINEで送ると、とても喜んでくださいます。

チェンバロの軽やかな音色や、パイプオルガンの壮大な響きに触れることは、彼女にとって大きな喜びとなっていて、最近ではチェンバロで弾ける曲やパイプオルガンで弾ける曲を選ぶようにしているほど。

このような経験が、吹奏楽部で新たな楽器に挑戦するきっかけにもなったのかもしれません。

さらに、彼女はピアノのレッスンを通じて、バロックなどの多声音楽も学んできました。

バッハのフーガの構造や、楽器ごとの音の役割を学んできました。
ピアノは単独でメロディーも伴奏もこなす楽器ですが、アンサンブルの中では異なる楽器の音色を聴き分け、調和させることが大切です。

そうした経験が、新しい楽器を始めるときにも役立ったのではないでしょうか。

音楽の土台を築くレッスン

ピアノのレッスンでは、演奏技術だけでなく、楽典の知識、リズム打ち、さまざまな楽器の話、ピアノ以外の音楽を聴く宿題 なども取り入れてきました。

時には私がメヌエットを踊ってみせることも🎶

音楽の土台をしっかりと作ることは、どんな楽器に挑戦しても活かされます。
楽譜を読む力やリズム感を鍛えることはもちろん、幅広い音楽に触れることで、耳を育て、感性を豊かにすることができるのです。

特に、ピアノ以外の音楽を聴く宿題では、オーケストラの楽曲やジャズ、民族音楽など、さまざまなジャンルに触れてもらいました。
同じ曲を、違う演奏者で聴くということもしています。

それにより、音楽の多様性を知り、どの楽器にも興味を持ちやすくなったのではないかと思います。

チューバという選択

吹奏楽部で彼女が選んだ楽器はチューバ

実は、彼女が最初に希望していたのはフルートやサックスでした。
しかし、希望者が多く、結果的にチューバの担当になり、最初は少し落胆していました。

それでも私は、彼女にはチューバがぴったりだと確信していました。

初めて吹いた日、「どうだった?」と尋ねると、「音が出せて、それだけですごいと言われました!」と笑顔で話してくれました。

確かに、チューバは初心者が初日で音を出すのが難しい楽器です。
それだけに、彼女が初日で音を鳴らせたのは素晴らしいことでした。

その後、彼女は期待以上の成長を遂げ、チューバの演奏が楽しくなった様子でした。
私も、彼女から吹奏楽部の話を聞いたり、相談を受けることが楽しみになりました。

チューバとピアノの共通点

「ピアノをやっていたおかげで、チューバの楽譜もすぐに読めて、合奏にもすぐに参加できました!」

と彼女が話してくれたように、ピアノを通して身につけた音楽の基礎が、チューバの演奏にも活かされていることを実感しました。

楽器が変わっても、拍子やリズム感、楽譜を読む力 はそのまま活かされます。
ピアノを通して培ったこれらの基礎力が、新しい楽器の習得を助けてくれます。

また、ピアノでは左手の伴奏が音楽の土台を作ります。
同じように、チューバは吹奏楽の中で低音を支え、アンサンブルの基盤となる重要な役割を果たします。

その重要性をピアノで学習しているからこそ、彼女の安定した低音が吹奏楽部においても欠かせない存在となっています。

さらに、ピアノのレッスンでは、私との連弾や2台ピアノを楽しみながらレッスンしてきました。
幼い頃から頻繁にアンサンブルを経験したことで、自然に育まれたアンサンブルの感覚が、吹奏楽部での演奏にも大いに役立っているようです。

親御さんも、彼女が新しい楽器に挑戦し、楽しそうに吹奏楽の話をしてくれることをとても喜んでいます。

チューバがもたらしたピアノへの影響

それだけではありません。

なんとチューバがピアノにも良い影響を与えるようになりました。

左手が前よりもずっと美しく歌えるようになったのです!

しかも、多声的に耳を使えるようにもなりました。

これには私も驚きました。

音楽を続けることで広がる可能性

ピアノを習うことは、決して「ピアニストになるため」だけではありません。

音楽の基礎を学び、表現の楽しさを知ることで、ピアノ以外の楽器にも興味を持ち、さらには音楽そのものを一生の友にすることができます。

この生徒のように、ピアノを通して「音楽の世界が広がる」ことは、私にとっても何よりの喜びです。
これからも、彼女が音楽を楽しみ続けてくれることを願っています。

私の教室では、こうした「音楽の可能性」を大切にしています。
ピアノだけでなく、さまざまな音楽の形に触れながら、自分に合った表現を見つけてほしい。

「ピアノを習っていて良かった!」と、いつか思ってもらえるように、これからもサポートしていきます!

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