ピアニストによるレッスンで見えてきたこと
5月3日に、ピアノコンチェルトを弾かせていただくことになりました。
曲は、バッハの『チェンバロ協奏曲 第5番 BWV1056』全楽章。
本来はチェンバロのための作品ですが、今回はピアノで演奏します。
コンチェルトというのは、ひとりで弾くピアノ曲とはまったく違います。
自分の音楽を持ちながら、オーケストラと一緒に呼吸し、響きを作っていく世界。
今回、その本番に向けて、まずはピアニストの先生にレッスンをしていただきました。
最初に言われたのは、「アンサンブルでは、まずリズムを守ること」。
これはとてもシンプルですが、ひとりで練習している時は、自分の感覚で少し揺れたり、弾きやすいように流したりしてしまうことがあります。
でも、オーケストラと一緒に弾く時は、その“少し”が大きなズレにつながってしまう。
特にバッハの音楽では、リズムの縦の線や、音の長さ、休符の感じ方がとても大切だと教えていただきました。
16分音符をなんとなくひとまとまりで弾くのではなく、ひとつひとつの音をもっとはっきり。
左手のリズムは、下から音楽を支えるように。
そして、休符はただの「何もない時間」ではなく、次の音に向かうための緊張を生むもの。
ほんの少し音の長さを変えるだけで、音楽の表情がまったく変わることに驚きました。
(手首の使い方とタッチを変えることと、音を鳴らす瞬間ではなく、音をどう処理するかに意識を向けました。)
第2楽章では、先生から
「どんなイメージで弾きたいですか?」
と聞かれました。
私が答えたのは、
「芳醇なワインのような音で弾きたい」
ということ。
急いで飲むワインではなく、ゆっくり香りを味わうような、深くてふくよかな音。
先生はそのイメージを大切に受け取ってくださって、左手は大きな古い石のように動かず、右手はその上で自由に歌うように、とアドバイスしてくださいました。
左手は揺らがない土台。
右手はその上に咲く花のように。
その言葉で、第2楽章の景色が少し変わった気がしました。
第3楽章では、左手の安定感や、飾り音の入れ方、右手と左手のかみ合わせについて細かく見ていただきました。
特に印象に残っているのは、
「自信を持って弾いた方がいい」
という言葉です。
まだ音を探しながら弾いているところ、移動に不安があるところ、装飾の音が曖昧になっているところ。
そういう部分はもちろん練習が必要なのですが、それでも、音楽としてはもっと前に出していい。
ソリストとして弾くということは、
ただ間違えずに弾くことではなく、
「私はこう弾きたい」という音を持つことなのだと感じました。
今回のレッスンで見えてきた課題はたくさんあります。
リズムを安定させること。
左手をもっと土台として響かせること。
装飾の音を小さくごまかさず、音楽の中で美しく輝かせること。
ゆっくり練習して、指先が本当に自分の思うように動くようにすること。
そして何より、オーケストラと一緒に音楽を作るために、自分の中の音楽をもっと明確にしていくこと。
まだ本番までは少し時間があります。
ここから、音がどう変わっていくのか。
自分でもとても楽しみです。
コンチェルトは、やっぱり特別な世界です。
ひとりでは見えない景色があって、
誰かと音を合わせることで、自分の音もまた変わっていく。
その過程も含めて、大切に味わいながら本番へ向かいたいと思います。
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