オケ合わせのあと、もう一度ピアノに戻る
オーケストラとの初合わせを終えて、再びピアニストの先生にレッスンしていただきました。
一度オーケストラと音を出したあとに受けるレッスンは、これまでとは少し違って感じました。
ひとりで弾いている時には、「自分の中で流れている」と思っていた音楽。
でもオーケストラと合わせてみると、その流れが本当に周りと共有できているのか、もっとはっきり見えてきます。
今回、何度も出てきたのは、ピアノソロの部分でエネルギーを落とさないことでした。
オーケストラが入っている時は、自然に音楽が前へ進んでいく。
でも、ふっとピアノだけになる瞬間に、少し元気がなくなったり、テンポが落ちたように聴こえたりする。
明らかに遅くしているつもりはなくても、“音楽の推進力”が少し弱くなってしまう。
そこを何度も見ていただきました。
オーケストラがいない場所こそ、ピアノがそのエネルギーを引き継ぐ。
むしろ、ピアノがオーケストラの代わりになるくらいの気持ちで、音楽を前へ運んでいく。
それは、ソリストとしてとても大切な役割なのだと感じました。
第2楽章では、右手のメロディーと左手の関係を細かく見ていただきました。
右手は自由に歌う。
でも左手は、オーケストラと一緒にアテンポで進む。
左手が右手に寄り添いすぎてしまうと、音楽全体が少し曖昧になる。
先生は、
「左手はメトロノームのように」
とおっしゃいました。
でもそれは機械的に弾くという意味ではなく、右手が自由に歌えるための土台を作る、ということ。
左手がしっかりしているから、右手は安心して歌える。
ここでもまた、コンチェルトは“信頼”なのだなと思いました。
そして、細かい音の扱いについても大切なことを教わりました。
装飾音として小さく書かれている音と、普通の音符として書かれている細かな動きは違う。
だからこそ、音符として書かれている細かな動きは、単なる飾りではなく、メロディーの一部として歌わせることが大切。
細かい音を飾りのように流してしまうのではなく、メロディーの一部として、指先できちんと響かせること。
小さくするのではなく、やさしく、でも芯のある音で弾くこと。
先生が
「真珠のように」
と表現してくださった音が、とても印象に残っています。
第3楽章では、左手の推進力。
オーケストラと同じ動きをしているところが多いからこそ、左手が重くなると、全体も重くなってしまう。
軽く、前向きに、でも曖昧にせず。
そのバランスがとても難しい。
でも、ここが整うと、音楽が一気に生き生きしてくるのを感じました。
本番が近づいてきて、先生からはスケールとアルペジオの練習も勧めていただきました。
スケールは日本のハノンで学ぶスケールとは異なるスケールを教わりましたが、実はこれポーランドのピアニストが勉強しているものと同じでした。
一時期、1日1つの調を必ず弾いていたのですが、最近サボっていたので復活させます!
また、苦手なパッセージを最小単位で半音ずつ上行、そして下降していく練習方法も教わりました。
曲だけを弾くのではなく、指や手の「自由さ」を手にいれるために、毎日20~30分はして欲しいとのことでした。
本番前だからこそ、基本に戻ることの大切さも感じました。
最後に先生が言ってくださった言葉が、とても心に残っています。
自分がやっていることを、しっかり信じて弾くこと。
オーケストラのテンポや雰囲気に乗ること。
その中で、自分らしさを失わないこと。
そして、
「オーケストラとできることだけでも幸せ。
一度しかない舞台だから、その時間をたっぷり楽しんで」
と言ってくださいました。
本当にそうだなと思います。
練習すればするほど、課題は見えてきます。
でも同時に、この曲をオーケストラと一緒に弾けることの幸せも、どんどん大きくなっています。
本番まで、あと少し。
自分を信じて。
オーケストラを信じて。
音楽の流れに乗って。
その一度きりの時間を、大切に味わいたいと思います。

