本番前日、最後のオーケストラ合わせ
本番前日、最後のオーケストラ合わせでした。
…なのに、録音がありません(笑)!
毎回録音して振り返ってきたのに、
なぜか一番大事なこの日に限って残っていない。
でも、だからこそ強く残っているものがあります。
それは、「音」ではなくて、空気や感覚。
前回のオーケストラ合わせと比べて、
今回強く感じたのは、
オーケストラが「反応してくれている」という感覚でした。
前はどちらかというと、
「合わせにいく」「合わせてもらう」という意識が強かったのですが、
今回は、こちらが出した音に対して、
オーケストラが応えてくれる瞬間が何度もありました。
音を出すと、返ってくる。
そのやり取りが、少しずつ自然に生まれてきたように感じます。
そしてもうひとつ、大きな変化がありました。
「聴こえ方」が変わっていたこと。
同じ曲、同じ場所でも、
これまでとは違うバランスで音が聴こえてくる。
前は自分のことで精一杯だったのが、
少しずつ周りの音に意識が向くようになって、
どこで何が鳴っているのか、
どこに乗ればいいのか、
そんなことが、少しずつ見えてきました。
ピアノは、楽器の中でも「孤独」と言われることがあります。
ひとりで音をつくり、
ひとりで音楽を完結させることができるからこそ、
自然と内側へ、内側へと向かっていく。
私自身も、これまでのレッスンや練習の中で、
自分の内側を見つめる時間がとても多かったと感じています。
でも、アンサンブルは違います。
殻にこもったままでは、
決して成り立たない音楽。
その場で鳴っている音を聴いて、
反応して、受け取って、また返していく。
ひとりで完成させたものを披露するのではなく、
その場で“共に生まれていく音楽”。
今回の合わせで感じた、
オーケストラが応えてくれる感覚や、
聴こえ方の変化は、
自分の内側にあった音楽が、
少し外へとひらいてきた証なのかもしれません。
もちろん、まだ不安なところもあります。
テンポが揺れそうになるところ。
エネルギーが落ちやすいところ。
指が少し心配なところ。
でも、それも含めて今の自分。
完璧にしようとするよりも、
その瞬間の音楽を信じることのほうが大切なんだと、
ここにきて改めて感じています。
録音は残っていないけれど、
きっとこの日の音は、
ちゃんと自分の中に残っている。
そしてそれが、明日の本番につながっていく。
いよいよ本番です。
自分を信じて。
オーケストラを信じて。
指揮を信じて。
そして、音を信じて。
いよいよ本番です。
自分の音を差し出して、
その場で生まれる音楽に応えていく。
その一瞬一瞬を、大切に弾いてきます。






